保護犬を家族に迎え入れるにあたっての心構えと彼等が望む事

KDP 代表 菊池 英隆

譲渡までの流れ

譲渡会にお越しくださった後にお見合いにシェルターにお越し頂き、お話が進めばお家の拝見し、必要であれば数度お見合いをして、日時をお互いに決めてこちらからお家にお届けさせて頂きます。

電話番号入りの首輪とKDPの迷子札鑑札をつけて頂くのも条件の一つとなっています。
いざという時の命の大事な保険であり、個体を守るとても大事なことですのでよろしくお願い致します。
(これが無い場合、そのまま届け出無く飼育や盗まれたり、本来保護してくれた方の所、もしくは警察署止まりにてこちらに連絡が来る所、保護センターや保健所まで行ってしまい、戻るまでの時間に6時間から3日程度の時間がかかったりします。戻す時間が早ければ早い程その犬の危険が少なく安全です。)

特に私は里親さんの年齢や家族構成、お留守番時間、室内飼育・外犬等の審査の基準は考えていません。
言い方は悪いですが、譲渡した子が天国に行き、また次の子をとお互いに思えるような、末永いお付き合いのできる里親様との良いご縁をお待ちしています。
また、今の日本の殺処分の現状を変えるのに一番近い所にいるのが我々愛犬家です。
勿論、ご家庭のスタイルに合った犬を迎え入れる事はとても大事なポイントですが『救う事』と言う言葉を頭に置いてご検討頂けますと犬たちにはとても光栄です。よろしくお願い致します。

保護犬を家族に迎え入れるにあたっての心構えと彼等が望む事

犬を迎え入れるにあたって、数ある選択肢の中から、殺処分と言う運命かボランティアに預かられる事しか与えられていない保護犬を迎え入れると言う道を選んで下さった事に感謝致します。

私は数年にわたって何百と言う犬達彼等と寝起きを共に生活をし、初めは右も左も解らずに沢山の想像や自分の思う気持ちを当てはめて悩み、考え犬達と接してきました。
その上で現在強く感じる事は、彼等はとても強く、誇り高く、前向きで、考え、行動し、危険を自ら回避し、社会性に優れ、動物的感覚が優れた生き物だと言う事です。

彼等は、例えば一家庭で子犬の時から沢山の家族に囲まれて幸せに過ごし、安心して飼育されて来た子達とは背負っているもの、経験、心が当たり前ですが少し違います。
保護犬達が里親様のもとへ行き暮らすまで、生死を分けた壮絶な過去、経験をしてきています。
それは勿論私達には見る事も知る事も不可能ですが、捨てられる前には飼い主がいて、捨てられてから放浪し数日から数か月を経て、警察署へ輸送されそこで数日を過ごし、動物保護センターへ収容され、見た事も無い不特定多数の犬達の中へ入り、数日から数か月を経て私の元へやって来ています。
その過程の中で彼等はとてつもない旅をして危険な出来事に遭遇し見事に生き抜き今に至ります。
そのとてつもない経験により、人、犬、その他の事に彼等はとても私達が思っている以上に経験を積んでいて良くも悪くも人慣れし、犬慣れし、我慢を覚え、諦めを覚え、身を守る為の危険を回避する事を覚え、人と付き合う事を覚えて来ています。それはそれはとても見事なものです。

そんな彼等を迎え入れると言う事は、とても面白く、とても喜びも大きい訳ですが、可哀想な過去を持つ、保護犬と言う彼等を受け入れて下さる皆様は勿論とても優しい方々であって、そんな彼等をどうにかして幸せに、大切に、もう辛い思いはさせないと、強い思いで臨んで下さるわけです。
それでもいざ生活が始まってくると様々な不安点や、心配、解らない事が出て来ます。
その中で、一生懸命に彼等を観察して、彼等の心を想像して、色々な事を考え、実行してみて、飼育をしていって下さると思います。

① まずその犬を、犬と言う生き物を良く知る事です。

犬種が純血種の場合は知りやすいです。(その犬がどうやって歴史の中で作られ、人と共にどういう役割によって来たか等)ミックスの場合は私共が出来る限りの説明を致します。この、知ると言う事が沢山の問題点や不明な点を気が付かせてくれます。

② 良い意味での鈍感力。

人目線での細かい事に鈍感になる事です。
これは擬人化しないと言う意味でもあります。あっこの子はきっと今こう考えているんだ、だからこうしてあげなきゃと、考えても良いのですが、これはあくまでも①の犬としての目線で想像し考えてあげてください。

③ 生活が始まり、色々と彼等を観察しているつもりでも実はこちらが観察されています。

彼等は便利な世の中で生きている私達よりも数十倍動物的感覚に優れていてとても優れた頭の良い生き物ですし、先ほども書いたように様々な経験をしてきている頭の良い彼等ですから人を見極める感覚が養われています。

④ どんな時も犬のペース、気持に同調しない。

この意味は⑤に書きます。

⑤ 彼等が本当の意味で新しいお母さんお父さん(里親様)に求めているものとは。

彼等が今求めている事は心からの安心です。その安心をさせる為に必要以上に声をかけ、触り、雷が鳴り怯えたら抱き込んで大丈夫よ!怯えている、どうしようとあたふた、車に乗せると吐くから乗せられないは、何々ちゃん、こっちおいでよしよし等々。
里親様になると言う皆様は本当に優しい方です。ですが、この優しさに、彼等犬達は余計に不安にかられて新しい家での行き場にこまり、自分を見失って行きます。
確かに雷で怖ければ可哀想ですし、車酔いするのも可哀想です。
生活の中で日常に常に目の前に起きる出来事から、その場しのぎの回避をしてしまうと根本的な解決には繋がりませんし、可哀想。から来たその飼い主側の行動から自らの首を絞める結果になって行き、最終的には飼育困難な状況に追いやられ犬が保健所で殺処分される結果になっているのが、今の保健所の現状です。なので可哀想を勘違いしてしまってはいけないと言う事、間違った優しさや怒れないと言う事から1番可哀想な結果に陥れる事になってしまっては何のための優しさか、偽善で終わってしまいます。雷が怖ければ、鳴ったら「やったー!」と言い踊ってあげる、車が苦手なら食事を抜いてしつこく乗せる。これでいいのです。
犬をリスペクトして下さい。そんなに弱い生き物ではありません。

要するにこれが④の同調です。同調は彼等を不安にさせ、居場所を無くす一番の要因です。新しいお母さん、お父さんに(里親様)この人たちを慕い、信用していいのかと不安に感じる逆効果になります。
沢山の経験を積んだ彼等が欲しい愛、安心、優しさとはこの様な事ではありません。

始まった生活の中で彼等犬達が里親様に一番望んでいる事と、こちらの心構えをどう置くか

彼等の脳に直接入り込み、動物的本能を心から安心させる、彼等が1番に求めている事は「何怖がってんのよ、馬鹿ね」これは言葉にして語り掛けるのではなく、『あなたの事は私の元で、胸の中で最後は看取るのよ、お母さん(お父さん)がついてるからオタオタしなくてもいいの、黙ってついていらっしゃい。』という、とてつもなく誰にも負けない強い気であって、背中であって、その一番強い心構えが彼等の脳に一番敏感に届き、安心し、里親様を信じ、強い忠実になり、彼等の今までの辛い過去を一瞬にして消え去る事が出来る、保護犬と言う彼等が心から欲しく求めている気持ちなのです。
この強い気持ちに勝てるものは他に何もありません。

自分の子供が成人するまでと同じで家庭の門限の時間は家のルールであって、理由なく、大黒柱が決められるものであり、それを破った子に理由は必要なく、駄目なものは駄目であって、そこに理由は関係が無いように、なぜならあなたは私の子だから、誰も他人は責任を負ってはくれないように、犬も同じです。これが良い意味での鈍感力です。そして、どんなにクッキーをあげても、優しい言葉をかけても、優しい気遣いをかけても、この強い気持ちにはとても勝てないほど犬達は安心し、慕い、忠実に生活ができるようになります。

犬を犬として見てあげる事が彼等犬、保護犬に対しての最大のリスペクトなのです。
いくら私共ボランティアがセンターから引き取って、命を繋いでも本当の意味で命を救った事にはなりません。受け入れてくれる里親様が本当の意味で彼等の命を救っているのです。
殺処分手前の犬達であっても、どんなに可哀想な過去があったとしても最終的には人、家族があって初めて輝く命なのです。この犬達を迎え入れる事によって、今まで以上にご家族の生活が向上する事、それで初めてお互いが幸せになる事だと思います。
彼等が1つだけ、かけられた言葉で最大の喜びを感じ表す言葉があります。
どんと構える気持ち以外で1つだけ。
その言葉は『お前は良い犬だな!良い犬だ』です。一日一回、よろしくお願い致します。
とても誇らしげないい顔を見せてくれます。

最後に、
私共ボランティアはそんな安心できる社会作りのお手伝いと仲介役になればいいなと思っている事と、小さい犬の命から広がり、最終的には人にも犬にも生き物にも優しい安心できるこの国を目指したいと思っています。次世代の為に行動したいと思い、そう考えます。
KDPに関わらず日本中に家が無い犬達があふれています。
是非ご自分たちのご家庭に合う保護犬達の受け入れをして頂き、今以上に幸せに生活する事ができ、そのスタイルを次世代の子供達に残してあげられる事を、肝っ玉母さんのお気持ちで実行して頂けますと犬達、未来の子供たちは苦労する事無く良いのではないかと思います!!
皆様、ご自分たちの為にも是非ともよろしくお願い致します。最後まで誠にありがとうございました。

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